“サウンド・オブ・ハーモニー(和諧之声)”は、スタインウェイの伝統ある歴史の中でも、最も価値あるグランドピアノのひとつです。このピアノは美術と音楽、そしてスタインウェイピアノを愛する中国の美術工芸品収集家、郭慶祥(Guo Qing Xiang)氏の特注によって制作委嘱されました。
「アートケース」の中で最も緻密なデザインの“サウンド・オブ・ハーモニー(和諧之声)”には、中国美術界の巨匠・石斉(Shi Qi)氏の水墨画を原画とした一対の孔雀が象嵌細工で描かれています。象嵌には、タモ・アッシュ(とねりこ)、チューリップ・ウッド(ユリノキ)、アンボイナ・バール(シタンの類)、オリーブ・アッシュ、ローズウッド(シタンの類)、マッカサル・エボニ―(マッカサル産国壇)、バーズアイ・メープル(サトウカエデ)、ブラジリアン・ローズウッド(ジャカランダ)など世界中から集められた約40種の貴重な木材が使用され、石斉(Shi Qi)氏の原画が見事に再現されています。
スタインウェイピアノの中で最大の、奥行き274cmのコンサートグランドをまさに大きな「キャンバス」に見立て、このピアノのケース(内リムと外リム)、内蓋、外蓋、譜面台、鍵盤蓋、そしてベンチの隅々にまで象嵌細工が施されています。非常に高度な技術を要する職人の手作業で、特にリム部分には、あわせて6メートルにもなるべニア板を貼り合わせ、まさに芸術品と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっています。
さらに、キャスターが見えないようにデザインされた脚部とペダルボックスなど細部にもこだわり、周りの雰囲気にとけこむよう工夫されています。また、Steinway & Sonsのロゴやリム内に取り付けられた楽器名を記すメダリオンやその他の金具は純金製で、「アートケース」の最高傑作となったこのピアノは、構想から完成までに丸3年を要しました。
郭慶祥(Guo Qing Xiang)氏は、全体調和を唱える儒教の教えを取り入れ、このピアノを“サウンド・オブ・ハーモニー(和諧之声)”と命名しました。その調和を表すためにはどのような絵柄がよいか考えていた時に思い浮かんだのは「孔雀」でした。そして、音楽とクラフトマンシップの調和を最も表現できるピアノはスタインウェイしかありませんでした。というのも、郭氏とご子息はスタインウェイのコンサートグランドピアノを以前より愛用していたからです。
この“サウンド・オブ・ハーモニー(和諧之声)”は2010年に184日間開催された上海万博に提供され、20,000回以上行われた世界各国のイベントの多くで使用されました。


